「鋳物(いもの)」は複雑な形状や内部構造を持たせられます。その後の行程である「切削加工(せっさくかこう)」によって、さらに精密な形状や部品を作ることが可能です。この鋳物のメリットは、溶かした金属を型に流し込んで作るので、余分な材料が不要だということ。さらに、切削加工によって不要な材料を取り除けば、材料の節約にもなります。鋳物の表面は型の凹凸や気泡などがありますが、切削加工によってこれらの欠陥を取り除けて、より滑らかな表面に仕上げられます。合わせて、表面の硬さや強度を増すこともできます。このように、精密な部品や複雑な形状の製品を効率的に作るための有力な手法といわれている鋳物切削加工ですが、反対に「加工自体がとても難しい」といわれているのです。当メディアでは、その理由と加工会社を選ぶ際に気をつけておきたいポイントを紹介します。鋳物切削加工が難しいとされている理由とは?引用元:photoAC一般的に加工業界のなかでも切削加工は難易度の高いものだとされています。それはどういった理由からなのでしょうか?それぞれの理由についてまとめてみました。理由その1:鋳物の切粉凹凸のある鋳物を削って滑らかにする時には、どうしても切粉(きりこ)、いわゆる切りくずが発生してしまいます。じつはこの切粉が工作機械に悪影響を及ぼしてしまうのです。鋳物の切粉が工作機械の部品やスキマに入りこんで、目詰まりや摩耗などの不具合を引き起こしてしまいます。これらのケアができていないと、工作機械の短命化につながる恐れがあります。さらにこの切粉は、工作機械だけでなく作業現場にも悪い影響を及ぼしてしまいます。鋳物の加工時に発生する切粉を作業者が吸引することで、健康被害に発展する恐れもあります。そのため、鋳物の加工環境には知見に基づいた配慮が必要となります。理由その2:支給材料により品質にばらつきがある鋳物の切削加工はあくまで二次加工であり、製造された鋳物に対して加工を行います。加工方法の特性上、鋳造(ちゅうぞう)を行う企業によっては、製品品質に少なからずバラつきが発生しがちです。鋳物加工に関するノウハウ・知見に基づいた加工を行わないと、品質が異なるために「要求精度を満たせていない製品が混じっている……」という事態になる可能性があります。理由その3:鋳造不良による加工ロスが起きうる鋳物加工を行っている最中に、鋳造不良(空洞の発生、割れなど)が発覚すると、製品として成り立ちません。こういった場合には、それまで行っていた加工時間が無駄となる可能性があります。つまり、加工時に鋳造不良が多数見つかった場合には、大幅な遅れにつながってしまうのです。理由その4:専用治具の製作が必要である鋳物へ加工を施す際には、専用治具(加工されるものを固定して、加工の案内をする補助的な装置)が必要となります。小ロット品であっても、治具を製作しなくてはならないため、作業工数が増加し、製作に多くの時間を要するといったことも珍しくありません。切削加工を依頼するときの注目ポイント引用元:photoAC大きなメリットを有する切削加工には、これまで紹介してきたような作業の難しさが存在しています。それでは、加工会社に仕事を依頼する場合には、どのようなポイントに注目しておけばいいのでしょうか?まとめてみたので、ぜひ参考にしてください。切削加工の実績と経験のある会社か?会社が切削加工を得意としているかどうかをチェックしておきましょう。これまで紹介したような難しさを含んでいる切削加工には、長年の経験や実績、そして豊富なノウハウが必要不可欠です。特に実績があればあるほど、これまで高品質な製品を納期厳守で提供してくれている可能性が高い会社といえます。不明点があれば、電話やメールなどで積極的に問い合わせてみましょう。的確にわかりやすく対応してくれる会社であれば、さらに信頼度が高まります。加工から品質管理まで一貫対応してくれるか?切削加工だけでなく、熱処理や表面処理などの二次加工にも対応できるかどうかも重要です。これらの処理を別会社に依頼すると、スケジュール管理などに費やされる手間も増えて、納期トラブルの原因にもつながります。工程をひとつの会社で一貫して行えれば、時間とコストも節約できます。そのほかにも、会社の安定性や提案力に注目しておきましょう。提案力のある会社は、単に図面通りに加工するだけでなく、製品の性能向上やコスト削減などを提案してくれます。これらのポイントをしっかりと押さえて、切削加工をおまかせする会社を選定していくといいでしょう。豊富な経験と実績をもつ切削加工会社3選引用元:photoACここまでのポイントを押さえて、おすすめの切削加工会社を紹介していきましょう。創業実績があり、経験の豊富な会社をあつめてみました。それぞれの会社の加工方法などについてもまとめていますので、ぜひ選定の参考にしてください。株式会社須藤機械引用元:株式会社須藤機械公式HP会社名株式会社須藤機械所在地〒379-2203群馬県伊勢崎市曲沢町685-8電話番号0270-62-8288設立1949年2月加工方法旋盤加工、マシニング加工ほか公式サイトURLhttps://sudokikai.com/輸送用機器(自動車、トラック、バスなど)の重要な保安部品の量産切削加工を主力としているのが株式会社須藤機械です。鋳鉄、アルミ鋳物、アルミダイカスト、ステンレスなどの多彩な素材の切削加工を提供しています。「信頼される製品づくり」をモットーに、1946年の創業以来培ってきた技術力と最新の設備を活かしており、顧客からの厚い信頼を獲得しています。品質マネジメントシステムである「ISO9001」と環境マネジメントシステムである「ISO14001」のふたつの認証を取得しており、高品質管理にも力をいれています。小ロット多品種にも柔軟に対応可能。素材調達から後工程処理まで一貫してサポートしてくれます。VAVE(価値分析と価値工学)提案も積極的に行ってコスト削減の提案もしてくれます。公式HPには、株式会社須藤機械が実際に加工した事例写真も掲載されています。ぜひチェックしてみてください。【難しいとされる鋳物切削加工を高品質で仕上げる須藤機械の公式HPはこちら】吉田工業株式会社引用元:吉田工業株式会社公式HP会社名吉田工業株式会社本社所在地〒384-2202長野県佐久市望月内匠2166番地1電話番号0267-53-2151佐久平プラント〒385-0021長野県佐久市長土呂793番地13設立1965年8月加工方法旋盤加工(チャッカー、バーフィーダー)、マシニング加工(3軸、5軸)、フライス、ねじ切り、タッピング、孔あけ、切断、平面研削、CMCセンタレス研削、ホーニング、放電加工etc公式サイトURLhttp://yoshidanet.com/吉田工業株式会社は、1965年に創業している老舗の加工会社です。アルミ鋳造と精密切削を主力技術としており、自動車の重要な保安部品の製造に取り組んでいます。最新の複合旋盤やマシニングセンターを完備。100台以上の切削や研削加工機を保有しています。アルミ鋳物の2次加工や仕上げ加工はもちろん、丸棒やブロック材からの総削り出し加工も得意としています。複雑な形状品や高い精度要求を持つ製品にも対応しています。加工冶具も設計から製作までを自社内で完結でき、最適なプログラムと切削条件を導き出して、工程の効率化による短納期と高精度加工を実現しています。株式会社渡邊製作所引用元:株式会社渡邊製作所公式YouTube会社名株式会社渡邊製作所本社工場〒384-2202長野県佐久市望月内匠2166番地1電話番号0256-52-0897千刈工場〒959-1327新潟県加茂市千刈3-102-1芝野工場〒959-1363新潟県加茂市芝野17-8設立1978年8月15日加工方法NC旋盤加工(小径から大径まで対応可能。10台以上保有)、マシニング加工(立形、横形、門形、5軸含めて30台以上を保有)公式サイトURLhttp://yoshidanet.com/加工から組立までをトータルサポートしてくれるのが株式会社渡邊製作所です。自社だけでなく協力会社との連携も可能。たくさんの製作実績を残している会社です。部品の材料調達から加工、検査、組立までを一貫してサポート可能。調達業務の効率化を図れるので、スケジュール管理や手間の煩雑さを軽減できます。バーコードによる工程管理を全製品に導入しているのも特長のひとつです。作業完了毎にバーコードを入力し、いつ、誰が、どの工程を完了させたかをリアルタイムでチェックできます。加えて、検査記録などの提出も迅速です。まとめ引用元:photoAC近年、加工業界全体が進化の過程にあります。テクノロジーの発展とともに、デジタルを主体とした設備への移行も急激に進んでおり、人の手を主体とした従来の方法にも自動化の波が押し寄せてきています。さらに、コロナ渦の影響もありますが、切削加工を請け負う企業自体が減少しているといわれていますが、需要が低減しているというわけでもありません。いまだに精密で正確な仕上がりを期待できる従来の加工法を望む企業が多いことから、加工業界全体が今後一層の盛り上がりを見せることは確実といえるでしょう。ここまでの記事を参考にして、ぜひ末永く付き合えて信頼のおける加工会社を見つけてみてください。